初めてでも分かる!介護保険制度のキホン

高齢になると、いざ介護が必要になった時に何をどうすれば良いのか、心配になる方も多いでしょう。介護保険制度は、初めて利用する人にとっては分かりにくいと感じられることも多いかもしれませんが、要介護者とその家族にとってはとても身近で不可欠なものと言えるでしょう。ここでは、介護保険制度の仕組みや保険料、いざ介護が必要となった時に知っておきたい情報を、分かりやすくまとめています。

2000年にスタートした介護保険制度

介護保険制度がはじまったのは、2000年4月からです。古いようで、まだ新しい制度だと感じた方は多いのではないでしょうか。それまでにも高齢者福祉に関する制度はありましたが、急速に進む日本の高齢化率や核家族化、高齢者の長期入院の増加など、たくさんの課題がありました。

そして、高齢化に伴い医療費の増加も大きな問題で、これらのたくさんの課題に対応するために介護保険制度が誕生しました。

もともと各自治体に納められる税金で成り立っていた高齢者の福祉は、介護保険制度によって国民の納める保険料と各市区町村の税金によって運営されるようになりました。社会福祉法人や医療法人が主だった介護事業には、民間事業も参入できるようになり、利用者は自分が利用したいサービスを自分の意思で選べるようになりました。

介護保険制度は、3年に1回のペースで見直しが行われており、制度の発足時に比べると大きく変化した部分もたくさんあります。

民間の介護保険との違い

ここでご紹介しているのは、公的な介護保険制度のお話です。しかし最近は、各保険会社も高齢者向きのプランや介護に備えたプランを多く扱っており、介護保険という名前のものも見かけるようになりましたね。この民間の介護保険と、公的な介護保険を混同してしまうと、少しややこしくなってしまいます。その違いについて、理解しておくと良いでしょう。

当然ですが、民間の介護保険の加入は個人の自由です。介護が必要になった時の金銭面の補填や、公的な介護保険制度では対象にならない年齢での保障などが主な目的となっています。加入条件は各保険会社によって異なり、給付方法や給付条件もそれぞれ違います。よく混乱されるのが、給付方法です。民間の介護保険の場合、多くは一時金や年金などでの現金給付、つまり介護が必要になった時にまとまったお金が給付される仕組みです。一方、公的な介護保険は所定の介護サービスの「現物給付」。使った介護サービスの費用のうち、一部の負担だけで済むというものです。よって、まとまったお金がもらえるわけではありません。

介護保険制度でサービスを受けられる人と保険料について

介護保険制度でサービスを利用することができる対象者と、納める保険料について見てみましょう。

介護保険の被保険者

介護保険制度の被保険者は、①65歳以上の方と②40歳~64歳までの医療保険加入者です。65歳以上の方は「第1号被保険者」、40歳~64歳までの医療保険加入者を「第2号被保険者」と分類しています。

介護保険制度で介護サービスが受けられるのは、第1号被保険者で要支援あるいは要介護の認定を受けた人です。そして、第2号被保険者のうち、特定疾病によって要支援や要介護の状態になった人もサービスを利用することができます。特定疾病として認められている病気は多いため、該当するかどうかは各自治体のホームページやかかりつけの病院の相談員、市区町村役場の福祉窓口で確認しましょう。要支援、あるいは要介護の認定については、また後ほどご紹介します。

介護保険料の納付

介護保険料の納付は40歳からです。加入は義務となっています。40歳から64歳までの間は、加入している健康保険と一緒に徴収される仕組みです。保険料については、各健康保険組合により異なります。給与を会社からもらっている人の多くは、それぞれの健康保険組合で定められた保険料率をもとに算出され、半分は事業主が負担する形で納めます。なお、医療保険と同様に、扶養されている配偶者はこれを納める必要はありません。

自営業など、国民健康保険に加入している人については、所得などをもとに自治体それぞれの計算方法によって算出されます。

65歳以上の方の保険料については、原則として年金からの天引きとなります。各自治体ごとに保険料額は異なり、低所得者には軽減措置もあります。

介護サービスを受けるまでの流れ

それでは、実際に介護サービスを利用したい場合の手続きの流れをご紹介します。

介護保険証(介護保険被保険者証)は65歳で自動交付される

65歳なら、まだまだ現役で働いていたり、お元気な方もたくさんいらっしゃいますが、誕生月になると自動的に介護保険被保険者証が郵送されてきます。しかし、このままでは介護サービスは使えません。必要になったタイミングで、介護認定を受けて、要支援あるいは要介護の認定が出ると介護サービスが利用できるようになります。

第2号被保険者の場合、介護保険被保険者証は通常発行されません。特定疾病によって介護が必要になった場合、申請をして認定が下りると発行される仕組みです。

介護認定を受けるまでの流れ

1.申請

介護サービスを受けるには、要支援あるいは要介護と認定される必要があります。これを介護認定と呼び、まずは申請をすることから始めます。申請は、住んでいる市区町村の介護保険の窓口や、地域包括支援センター、在宅介護支援センター、居宅介護支援事業所などでも可能です。入院中の方は、病院のソーシャルワーカーに相談するのも良いでしょう。

2.調査

申請された方の心身の状態や、日常生活の様子などから、どの程度の介護が必要なのか調査を受けます。この調査は、市区町村の職員や委託を受けたケアマネジャーによって、ご自宅や病院で聞き取りや動作の確認が行われます。調査にかかる時間は通常1時間前後です。普段の生活のありのままを伝えられるように、気になることなどはメモしておくとスムーズです。家族の同席は必須ではありませんが、本人だけでは気づかない部分をしっかり伝えるためにも、日頃介護やお世話に携わっている人ができるだけ同席されることをおすすめします。

3.主治医の意見書の提出

医学的な見地も踏まえて介護認定は行われます。主治医が作成する「主治医意見書」は、申請の時に伝えたかかりつけ医に直接依頼されるのが通例です。意見書作成に関する費用の負担はありませんが、長期間受診をしていない人などは受診をする必要も出てきます。

4.判定

調査と主治医意見書が揃ったら、判定が行われます。判定は2段階のステップで構成されており、まず一次判定としてコンピューターでの判定が行われます。次に、一次判定の結果や調査票、主治医意見書をもとに、介護認定審査会による二次判定が行われます。介護認定審査会は、福祉・保健・医療の専門家5名程度からなる組織です。

5.認定結果の通知

二次判定で出た結果によって各市区町村が介護認定を行い、その結果が申請者のもとに届きます。基本的に、申請から認定までは30日以内に行われるのがルールです。要介護度は要支援1・2、要介護1・2・3・4・5の7段階と、非該当に分けられます。要支援よりも要介護の方が介護度が重く、数字が多ければ多いほど介護の必要性が高いことを示します。

要介護認定には有効期限があり、状態が変わらない場合も期限が切れる前に更新しなければ介護サービスを利用し続けることができません。その時の状態によって介護度は変わるため、必ずしも同じ介護度のままとは限りません。また、有効期限内に状態が変化した場合は、区分変更申請を行うこととなります。

介護サービスを受けるには

介護サービスを受けるためには、要介護認定を受けて、ケアプラン(居宅サービス計画書)を作成し、その計画に組み込まれた各サービス事業所と契約をして利用する必要があります。ケアプランは、要支援の場合は地域包括支援センター、要介護の場合は居宅介護支援事業者のケアマネジャーが立てるのが一般的です。要介護認定の通知と一緒に、どのようにすれば介護サービスが使えるのか記載された書類も入っていることが多いため、安心してください。

高齢者の暮らしで困ったことや心配ごとがあればまず相談を

介護保険制度の大きな目的の中には、「自立支援」も含まれています。その方の能力に応じ、できるだけ自立した生活を支援する、というものです。これは、単に不自由になった部分や出来なくなった部分をサービスで補うだけではなく、介護保険を使うことでその方が元気になったり、再び出来ることが増えることを目的にしているということです。

まずは、困り事や心配ごとがあったら、気軽に市区町村の窓口などで相談してみましょう。介護度がすすむ前の段階から必要なサポートを受けることは、介護予防にもつながります。

この記事のまとめ

  • 高齢化に伴い医療費の増加が大きな問題となり、課題を解決するために2000年に介護保険制度が誕生
  • 介護保険料の納付は40歳からとなっており、介護保険は65歳以上の方を「第1号被保険者」、40歳~64歳までの医療保険加入者を「第2号被保険者」にそれぞれ分類
  • 65歳以上の方の保険料については、原則として年金からの天引き
  • 介護サービスを受けるには要支援あるいは要介護と認定される必要があり、申請は住んでいる市区町村の介護保険の窓口などで行える
  • 介護認定は申請から認定までは原則30日以内に行われるのがルールとなっている