介護施設にはさまざまな種類があり、それぞれでサービスや入所対象者も異なります。では、介護施設に入所したい場合、いつ入所するのがよいのでしょうか?ここでは、介護施設の入所基準や入所するタイミングについて、状況ごとに適している施設などをご紹介します。
代表的な介護施設の入所対象者

介護施設の主な入所条件には、年齢、介護度、認知症の有無があります。施設ごとに入所基準がある程度決まっているため、対象から大きく外れてしまうと入所したくてもできないことがあります。まずは、介護施設全体の入所基準の目安を見ていきましょう。
年齢:60~65歳以上に設定されていることが多い
介護施設は基本的に高齢者のための施設なので、入居者の年齢は60~65歳以上を目安としている施設が多いです。
例えば、公的施設である特養は、入所対象者は65歳以上と法律で定められています。ただし、40~64歳でも特定の疾病があり、要介護3以上であれば入所できるといった例外もあります。
介護保険施設の利用者は90歳以上が最も多い
2016年のデータでは、介護保険施設(特養・老健・介護療養型医療施設)の利用者は80代以上で一気に増え、90歳以上が35~39%程度と最も高くなっています。さらに、年齢が下がるごとに利用者は少なくなっており、40~64歳は1~2%程度、65~69歳は2~3.5%程度となっています。
介護度:介護保険施設は介護度が高い方が対象
介護サービスを使うためには、介護保険の要介護認定を受ける必要があります。要支援1~2、要介護1~5の7段階(+自立)があり、介護度によって受けられるサービスの内容や金額が異なります。介護度は入所条件の目安にもなっており、例えば特養の入所対象者は、基本的に要介護3以上となっています。
一方で、自立して生活できる方や健康な方向けの施設もあり、介護が必要になると退去しなければならなくなる施設もあります。
認知症の有無:施設によって異なる
認知症の有無や度合いによって、受け入れ可否が変わることもあります。例えばグループホームは認知症高齢者しか入居できない一方で、健康型有料老人ホームは認知症を発症すると退去になる場合があったり、ケアハウスのように軽度の認知症までなら入居可能であったりと、入居基準はさまざまです。入居契約の前に、施設の相談員に入退去などの要件を事前に確認することをお勧めします。
介護施設の入所を考えるタイミングと適している施設

以下のようなタイミングで介護施設の入所を検討するとよいでしょう。
- 介護が必要となった、介護度が上がった
- 認知症を発症した、症状が重くなった
- 医療ケアが必要となった
- 退院時
- 家族の負担が大きくなった
それぞれについて詳しく見ていくとともに、状況ごとに適している施設もご紹介します。
介護度が上がった
身の回りのことが自分でできなくなった、介護が必要となった、これまでより介護度が上がった場合は介護施設の入所を検討するのも選択肢の一つとなります。
介護度が高い方向けの施設:特別養護老人ホーム・介護付き有料老人ホームなど
比較的介護度の高い方を受け入れている施設として、特養や介護付き有料老人ホームが挙げられます。この2施設は基本的に介護スタッフが24時間常駐し、手厚い介護ケアを行っていることが一般的です。また、ケアハウスやサ高住でも、介護型の場合は介護に重点をおいたサービスを提供しています。
認知症の発症・悪化
認知症を発症すると、家事や身の回りのことができない、食事がうまくできない、洗面や入浴ができない、失禁してしまうなど、日常生活にさまざまな支障が出ることがあります。進行すると、徘徊などの症状が現れることもあり、家庭内では対応が難しくなってしまうことも多いです。
さらに、怒りっぽくなったり、幻視(誰もいないのに誰かがいると主張する)、もの盗られ妄想(物を盗まれたと疑う)などの心理症状も起こるようになり、家族が疲れ切ってしまうこともあります。頻繁に徘徊するため目が離せない、家族が介護に疲れているという場合は
早めに入所を検討するとよいでしょう。
認知症のケアが手厚い施設:グループホーム
認知症を発症していたり、症状が重いと受け入れできない施設もある一方で、積極的に認知症高齢者の受け入れをしているのがグループホームです。グループホームは最大18人程度の少人数で、プロのスタッフのサポートのもと、家事などを分担しながら共同生活する施設です。入所には認知症の診断が必要です。
グループホームでの生活は認知症の方に適した環境と言われています。同じ顔ぶれで環境の変化が少ないため、認知症の方が穏やかに暮らすことができ、症状悪化防止にもつながるとされています。
医療ケアが必要
経管栄養やたん吸引、気管切開、常時点滴などの医療ケアが必要となった場合、家族では対応が難しい場合があります。介護施設の医療体制は施設によって大きく異なるため、入所の際はしっかりチェックしましょう。
例えば、医療ケアが充実している主な施設は介護療養型医療施設ですが、特養は医療依存度が高い方は入所できないことが一般的です。また、有料老人ホームは施設によって医療体制に大きな差があります。
医療ケアが充実している施設:介護療養型医療施設
医学的管理が必要かつ要介護1以上の方向けの施設です。入所者100人につき医師が3人配置されており、経管栄養、たん吸引などの手厚い医療ケアを受けることができます。もちろん、食事や入浴、排泄の介助、リハビリなども行われます。
退院後に在宅介護が難しい場合
病気やケガで入院していた場合、退院後に在宅介護が難しくなることもあります。退院時に自宅復帰に向けたリハビリが必要と判断された場合は、老健に転院となることが一般的です。しかし、老健の入居期間は3ヶ月~半年程度なので、その後、自宅に復帰するのが一般的ですが、各入居者の状態やご家族の状況により、老健退所後、別の介護施設に入所となるパターンもあります。
退院~自宅復帰までにリハビリを行う施設:介護老人保健施設
介護が必要な高齢者に対して介護やリハビリなどのサービスを提供する施設です。自宅復帰を目的としているため、長期入院後の自宅復帰までに利用されることが多いとされています。また、自宅に戻ったあとの生活に困らないように、家の環境や介護用具の準備など、さまざまな内容についてアドバイスをもらうこともできます。
家族の負担が大きくなった
介護施設へ入所するかどうかは、本人の状態よりも、家族の負担が大きいかどうかを重視するとよいと言われています。負担が大きい状態で在宅介護を続ければ、家族が介護疲れで肉体的にも精神的にも辛くなってしまうことがあります。そのため、以下のような状態になる前に早めに入所を検討するとよいでしょう。
- 介護の負担が大きく、疲れが取れない
- 介護によって腰が痛い
- イライラしたり不安に感じたり、気持ちに余裕がない
レスパイト目的でサービスを利用してもよい
レスパイトとは、介護者の休息のためのケアのことです。介護保険適用となるサービス(要介護認定が必要)は、主に訪問介護(ホームヘルプ)、通所介護(デイサービス)、ショートステイ(短期入所)の3つがあります。ショートステイは最大30日連続で利用できるため、十分なリフレッシュ効果が期待できます。
介護施設入所の検討は早めがおすすめ!その理由とは
ここまで紹介した状態に当てはまらなくても、介護施設の入所は早めに検討するのがよいとされています。その理由を見ていきましょう。
入所待ち時間が発生することがある
公的施設(特に特養)の場合、入所待機者が多く、場合によっては数年単位の待ち時間が発生することもあります。時間がかかればその分家族の負担は増し、その間にも徐々に介護度が高まる可能性もあります。そのため、介護施設の入所に少しでも関心を持った時点で入所の検討を始めるとよいでしょう。
介護施設の入所に関心を持ったら、ケアマネージャーに相談の上、介護認定を受けるための申請を行った後、デイサービスなどを利用しながらご要望に対応した施設を検討するなど早め早めに準備するとよいでしょう。
入所者本人の意向も取り入れられる
早いうちに入所の検討を始めると、入所者本人が見学に行ったり説明を聞いたりすることができ、自分の意思で施設を決めることができます。本人の状態や資産に適した施設選びができたり、今後のお金の使い方を考えたりできる点もメリットでしょう。
また、本人の介護度が高くなってしまうと、本人の意思で施設が選べないだけでなく、家族も介護に時間がとられ、余裕をもって施設選びができなくなってしまいます。
自立した方向けの施設もある
まだ元気なうちに介護施設の検討をするのは複雑かもしれませんが、介護度が低く、自立して生活できる方向けの施設もあります。例えば以下のような施設があります。
- 健康型有料老人ホーム:食事、家事、安否確認などのサービスが提供され、アクティビティや娯楽施設も充実している
- サ高住(一般型):バリアフリーの賃貸住宅に住みながら、安否確認や生活相談などのサービスを受けられる、高齢者向けの施設
- ケアハウス(一般型):見守りや外出時の付き添いなどのサービスが中心で、価格が比較的安いのが特徴。夫婦での入所もできる
- シニア向け分譲マンション :一般の分譲マンションとほぼ同様だが、バリアフリーや高齢者向けのサービス、娯楽施設などが充実している
介護施設の入所は早めに検討を!

介護施設への入所の検討は早めに行うのがよいとされています。早めに行うことで、余裕を持った施設選びや、本人の意思も反映できる、入所待ち期間が長くなっても影響が少ないといったメリットがあります。
また、入所を検討するタイミングとして、介護度が上がった、認知症の発症・悪化、医療ケアが必要となった、などのタイミングが挙げられますが、大切なのは家族の負担が大きいかどうかだと言われています。そのため、介護の負担が大きく疲れが取れない、介護によって腰が痛い、気持ちに余裕がないような状態に陥る前に、介護施設の入所検討を始めましょう。入所までは、ホームヘルプやデイサービス、ショートステイなどによるレスパイトサービスを利用する方法もあります。
この記事のまとめ
- 介護施設の種類によって入所基準がある程度決まっており、入所条件(年齢・要介護度など)によって利用可能な施設が変わる
- 介護度が高くないと入れない施設(特別養護老人ホームなど)がある一方で、自立して生活できる方や健康な方向けの施設もあり、介護が必要になると退去しなければならなくなる施設がある
- 入所するタイミングは「介護が必要となった」、「介護度が上がった」「認知症を発症した」、「症状が重くなった」「医療ケアが必要となった」「退院時」「家族の負担が大きくなった」などがあげられる
- 家族などの負担を一時的に軽減したい場合には訪問介護(ホームヘルプ)、通所介護(デイサービス)、ショートステイ(短期入所)なども検討する
- ケアマネージャーなど介護専門職の人に相談するのがよい
- 入所までに時間がかかることもあるため、検討は早めに行うのがよい
- 本人の意思もきちんと確認することが大事



