介護保険は40歳になると加入が義務付けられている社会保険で、介護が必要になった場合に介護サービスを受給することができます。また、要介護や要支援状態と認定された場合はさまざまな介護保険サービスの利用が可能となります。そこで、ここでは介護保険における要介護認定について、認定基準や受けられるサービス、申請方法などについて詳しく解説します。
要介護の認定基準とは
要介護、要支援とは、以下のような状態を指します。
- 要介護:日常生活における基本的な動作を自分で行うことが難しく、何らかの介護が必要な状態
- 要支援:日常生活における基本的な動作はほぼ自分でできるが、要介護状態になることを予防するために手段的日常生活動作*について何らかの支援が必要な状態
*手段的日常生活動作:食事、排泄、入浴などの日常生活動作よりも一段階上の動作のことで、家事や交通機関の利用、電話対応、服薬管理などの複雑な日常生活動作を指す。
要介護と要支援は、さらに要介護1~5、要支援1~2の7段階に細かく分かれ、該当しない場合は自立に分類されます。段階は基本的に、介護量や支援の内容と、それらにかかる時間によって決定されます。具体的な基準は以下の通りです。
| 直接生活介助 | 入浴、排泄、食事などの介護 |
| 間接生活介助 | 洗濯、掃除などの家事の援助 |
| 問題行動関連行為 | 徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末など |
| 機能訓練関連行為 | 歩行訓練、日常生活訓練など |
| 医療関連行為 | 輸液の管理、じょくそうの処置など |
| 段階 | 認定基準 | 具体的な状態の例 |
| 要支援1 | (上記5分野が)25分以上32分未満またはこれに相当する状態
|
日常生活における動作をほぼ自分で行うことができるが、立ち上がりなどの日常生活の一部に手助けが必要な状態 |
| 要支援2 | 32分以上50分未満またはこれに相当する状態 | 要支援1よりも自分でできることが少なくなり、一部介護が必要な状態 |
| 要介護1 | 32分以上50分未満またはこれに相当する状態 | 要支援状態から、手段的日常生活の動作を行う能力がさらに低下し、部分的に介護が必要な状態 |
| 要介護2 | 50分以上70分未満またはこれに相当する状態 | 要介護1の状態にプラスし、日常生活動作に対しても部分的な介護が必要な状態 |
| 要介護3 | 70分以上90分未満またはこれに相当する状態 | 要介護2に比べて日常生活動作・手段的日常生活動作が著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要な状態 |
| 要介護4 | 90分以上110分未満またはこれに相当する状態 | 要介護3の状態よりもさらに動作能力が低下し、介護なしには日常生活を送ることが難しい状態 |
| 要介護5 | 100分以上またはこれに相当する状態 | 要介護4の状態よりもさらに動作能力が低下し、介護なしには日常生活を送ることがほぼ不可能な状態 |
要支援2と要介護1の違い
要支援2と要介護1は1段階の違いで受けられるサービスが大きく異なります。では、その違いはなんなのでしょうか。大きく分けると、状態の安定性と認知症の度合いだと言われており、どちらかに該当すると要介護1に認定される可能性があるとされています。
状態の安定性
現在の状態ではなく、今後さらに介護の必要性が高まるような変化が起こるかどうかを判断します。医師の意見書などから、半年以内に状態が大きく変化する可能性があると、要介護1となる場合があります。
認知症の度合い
認知症がある場合、その度合い(日常生活の自立度)を7段階で評価します。日常生活の自立度が低いと要介護1となる可能性があります。
要介護の段階と受けられるサービス
要介護の段階によって、受けられるサービスと回数や頻度(支給限度額)が異なります。
受けられるサービス内容
| サービス | 要支援1 | 要支援2 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
| 訪問型サービス
(介護、看護、入浴、リハビリ) |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 夜間対応型訪問介護 | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 通所型サービス(デイサービス、デイケア、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| ショートステイ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 特別養護老人ホーム | × | × | △ | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
| 地域密着型特別養護老人ホーム | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設、介護医療院 | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| グループホーム | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 地域密着型特定施設入居者生活介護
(指定を受けた有料老人ホームなど) |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
そのほか、福祉用具の貸与や販売、住宅改修費の支給なども受けることができます。
区分支給限度基準額
介護度によって月々の支給限度額が決まっているため、サービスを利用する場合はその限度内におさめる必要があります。サービスを利用する際の費用は原則1割負担ですが、限度額を超過した場合は全額自己負担になるので注意が必要です。
| 介護度 | 区分支給限度基準額(1か月) |
| 要支援1 | 50,320円 |
| 要支援2 | 105,310円 |
| 要介護1 | 167,650円 |
| 要介護2 | 197,050円 |
| 要介護3 | 270,480円 |
| 要介護4 | 309,380円 |
| 要介護5 | 362,170円 |
また、老人ホームなどの施設を利用する場合は、居住費や会費は支給の対象外のため、全額自己負担になります。そのほか、福祉用具の購入費や住宅改修費は別途上限額が決まっているため注意しましょう。
- 実際の支給限度額は金額ではなく「単位」で定められており、サービスの種類やお住まいの地域によって1単位あたりの価格が異なります。
- 上の表の区分支給限度額は利用できる金額の目安として、1単位あたり10円で計算しています。
要介護認定の申請方法と認定までの流れ

介護保険サービスを利用したいときは、サービスを受ける人が住んでいる自治体の窓口で申請を行います。その後、認定調査員の訪問調査と医師の意見書(診断書)をもとに、コンピュータ判定、介護認定審査会(保健、介護、医療の専門家の集まり)を経て介護度が認定されます。原則、申請から1カ月以内に認定結果が通知されます。
また、認定結果の有効期限は、原則、初回が半年、その後は1年ごととなりますが、介護認定審査会の判断により、3か月から48ヶ月の間で、更新する必要があります。
介護保険サービスを利用したい場合はまず申請を
介護保険サービスを受ける場合は、要介護認定が必要となります。要介護度は、要支援1、2、要介護1~5の7段階に分かれており、介護度によって、受けられる介護サービスの内容や支給限度額が異なります。介護保険サービスを利用したい場合は、まずは自治体の窓口で申請を行い、要介護認定の審査を受けましょう。
この記事のまとめ
- 要介護と要支援は、さらに要介護1~5、要支援1~2の7段階に細かく分かれ、該当しない場合は自立に分類される
- 介護度の認定は基本的に介護量や支援の内容とそれらにかかる時間によって決定される
- 要支援と要介護では受けられるサービスの種類が異なる(要支援では介護保険内で受けられないサービスがある)
- 介護度によって月々の支給限度額が決まっており、サービスを利用する場合はその限度内におさめる必要がある
- 介護サービスを利用する際の費用は原則1割負担ですが、限度額を超過した場合は全額自己負担になる
- 認定結果の有効期限は、原則、初回が半年、その後は1年ごとだが、介護認定審査会の判断により3か月から48ヶ月の間で更新する必要がある
